
正直言って、甘々のファンタジー。
でもね、小説だからこそそういうのは嫌いじゃない。
「人間っていいな」と思わせてくれる場面があってもいい。
現実はもっと厳しいからこそ。
ちょっと胸にチクりと来た言葉があった。
このセリフは主人公の悦子さん。
映画では吉永小百合さんが演じるらしい。
吉永さんの口からこういうセリフが出て来たら
そのまますーっと心にしみ込みそうだ。
「過去を懐かしむことが出来るってことは、
あなたたち二人はきっと、
いまの自分自身をちゃんと大事に思てるってことだと思うわ。」
「過去を懐かしむことって、
自分の生きてきた道のりを受け入れられている証拠でしょ。
辛かったことも含めて、
これまでの人生の積み重ねをまるごと肯定できているから、
あなたたちは『懐かしい』っていう気持ちで当時を思い出せるのよ。
もっといえば、
その積み重ねそのものが、いまのあなたたちなんだから、
自分を肯定して、受け入れて、
大事に出来ているってことになるでしょ。」
「自分の積み重ねてきたモノを大切に思えて、
他人の積み重ねてきたものも大切にしてあげたいって思えたら・・・。
きっとその人は大人になれたってことなんだと思うわ。」
「虹の岬の喫茶店」森沢明夫:著 幻冬舎文庫