風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の ありをりはべり いまそかり

「虹の岬の喫茶店」


正直言って、甘々のファンタジー
でもね、小説だからこそそういうのは嫌いじゃない。
「人間っていいな」と思わせてくれる場面があってもいい。
現実はもっと厳しいからこそ。

ちょっと胸にチクりと来た言葉があった。
このセリフは主人公の悦子さん。
映画では吉永小百合さんが演じるらしい。
吉永さんの口からこういうセリフが出て来たら
そのまますーっと心にしみ込みそうだ。

 「過去を懐かしむことが出来るってことは、
  あなたたち二人はきっと、
  いまの自分自身をちゃんと大事に思てるってことだと思うわ。」

 「過去を懐かしむことって、
  自分の生きてきた道のりを受け入れられている証拠でしょ。
  辛かったことも含めて、
  これまでの人生の積み重ねをまるごと肯定できているから、
  あなたたちは『懐かしい』っていう気持ちで当時を思い出せるのよ。
  もっといえば、
  その積み重ねそのものが、いまのあなたたちなんだから、
  自分を肯定して、受け入れて、
  大事に出来ているってことになるでしょ。」

 「自分の積み重ねてきたモノを大切に思えて、
  他人の積み重ねてきたものも大切にしてあげたいって思えたら・・・。
  きっとその人は大人になれたってことなんだと思うわ。」

「虹の岬の喫茶店森沢明夫:著 幻冬舎文庫